未来のフードチェーンを デジタルトランスフォーメーションから考える

SDGs No.12つくる責任、つかう責任

 

 

世界の食料危機が深刻になっています。現在、世界人口約77億人のうち9人に一人にあたる約8億人が飢餓に苦しんでいるにも関わらず、年間13億トンにも及ぶ食料が世界で捨てられているのをご存知でしょうか?

この課題を解決するべく、国際連合をはじめ世界のフードチェーンに関わるステークホルダーはSDGs(持続可能な開発目標)や食料廃棄削減推進法による削減の取り組みを進めています。今後も増え続ける世界人口分の食料を賄うには、従来の食糧生産から消費までのフードチェーン全体の見直しが必要です。

 

世界の課題、食品ロスの背景


実は、一年の間に世界で生産されている食料は全人口に配分するのに十分な量があります。国連WFPレポートによると、全世界で生産される食料は年間約40億トンありますが、そのうちの三分の一にあたる13億トンの食料廃棄が起こっているのが世界の現状です。

その数字に驚くのと同時にこの廃棄理由が開発途上国と先進国で異なります。開発途上国の廃棄原因は「余剰作物」、要するに作りすぎた食物が余って捨てられています。個人農家の金銭的な理由で長期保存する倉庫を設置できない、規格に合わない野菜は卸先から容赦なく突き返されることが多いのも要因です。

また先進国においては、日本の状況だけにフォーカスすると、食品廃棄物は年間2759万トン、食べられるのに廃棄される食品が年間約650万トンに及びます。日本人一人当たり、毎年51kgの食べられる新鮮な食料を捨てている計算になります。(消費者庁調べ)国民個人に相応の収入があり、国内での消費が見込まれる先進国には海外からも多くの食料が集まってきますが、必要以上に集まった食料を加工して販売する過剰生産が先進国の食品ロスの原因です。

このように先進国と開発途上国で廃棄理由は違うものの地球規模では食料が足りていない 「食の不均衡」が今起こっています。この問題に対して、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)にも「No.12つくる責任つかう責任」のアジェンダで食品ロス削減が世界で取り組むべき課題であることを示しています。

”12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。”

フードチェーンを見直す糸口


食品ロスの課題を詳しく要素分解すると、生産から加工、流通、小売りに至るフードチェーン内にも問題があります。食物生産の現場である農家では多くの場合、大きさや見た目などの規格基準に満たない作物は売ることができず廃棄されています。先に説明した途上国の規格外の食物もこれに含まれます。
さらには、企業が行う加工製品の生産工程内でも品質維持ができなかった材料が廃棄されています。その総数は年間150万~200万トン。深刻な数字です。

また、各ステークホルダー間とのマーケティングシステムが不十分で商品の流通情報の連携が取れずに、必要以上の商品が小売店に陳列されてしまい、売れ残りによる廃棄が発生しています。
このような問題に対処するには、どの国においても食品が生産されてから消費するまでのフードチェーン全体をより効率的に循環できる仕組みと情報共有の連携が取れるかどうかが食品ロス解決の糸口になりえます。

DXで消費者と企業に価値ある情報管理を


食品ロスの問題にデジタル技術で業務を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)がパズルを完成させる1ピースになると期待されています。現在、原産地や生産者などの情報を消費者に開示する取り組みはすでに行われていますが、その記録だけでは不十分だという声もあります。

そこで生産される食品の流通履歴をより詳しく記録でき、生産者、企業、消費者もその情報を遡れる技術があれば便利だとは思いませんか?
もしそれが可能なら、消費者と企業どちらにも付加価値の高い情報として扱うことができます。また企業が加工した食品がいつ、どこで、どのように作られて、届いたかの情報がフードチェーンに関わる各ステークホルダーと明確に共有できれば、商品の情報追跡がしやすくなり、必要以上の仕入れ、在庫、販売などを抑えることにつながるので、ひいては無駄な食料廃棄を減らすことにつながります。
この技術の特徴をすべて併せ持っているのが「TaaS」であり、CTIAはこの技術と専門知識を駆使して世界的な社会問題を紐解く努力を続けています。

 

未来志向のアイデアをTaaSでカタチに

将来、食品ロスゼロのサステナブルな世界をつくる責任とモノをつかう責任が今を生きる私たちに求められています。これらの要件に合う革新的なアイデアをCTIAが開発・提供するTaaSで実現します。
DLT(分散台帳技術)を活用した生産管理システムTaaSは、生産、加工、流通、小売りなどの各ステークホルダーの需要に合わせた情報履歴の管理を可能にします。

また、いつ、どこで、誰が、何をしたかを正確に記録し、整合性と耐改ざん性を含んだ状態でデータを保管できるので、設計次第ではビジネス利用にも適応できます。
未来志向のアイデアがTaaSでカタチにできる社会をつくるため、CTIAはDXを推進しています。

世界の食の不均衡を解決するうえで、技術やコンサルティングノウハウと同じくらい大切なのは、「個人の意識」です。
食事を食べ切れないなら、持ち帰れないか店員に聞いてみる、作りすぎた作物、おかずを隣人におすそ分けする、食品ロスについて友人と話し合ってみるなど未来のフードチェーンをあなたから考えてみてはいかがでしょうか。

Writer: T. OGASAHARA

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