ブロックチェーンとは

ブロックチェーン、産業界に起こす技術革新

20世紀にインターネットが登場して以来、様々なインターネット産業、オンラインビジネスが生み出されてきました。近年では、デジタルを掛け合わせた産業革命「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が提唱されています。
量子コンピュータ、AI、ビックデータなど多くのデジタル技術が産業に影響を与える中、ブロックチェーンもフィンテックをはじめ、あらゆるビジネスに価値をもたらす技術として注目を浴びています。そこで、本コラムではDXに関わるデジタル技術「ブロックチェーン」について解説します。

価値のインターネット、ブロックチェーンとは?

もともとブロックチェーンは暗号資産(仮想通貨)の一つであるビットコインの基幹技術として発明された技術です。暗号資産の筆頭であるビットコインが2008年10月、サトシナカモトと名乗る人物によってインターネット上に論文として投稿された際、その基幹技術の一つであったのがブロックチェーンでした。

デジタルデータや情報を一つの台帳に記録し続け、不特定多数のノード(PC端末)が記録の正しさを分散して計算・管理し、一定間隔のブロックに格納しながらチェーン上につなぎ合わせるのが、ブロックチェーンの名前の由来です。この特徴から分散型台帳技術とも言われます。
中央管理者なく記録を管理するため、改竄されづらく、かつ時系列に情報を記録できるので、情報の追跡可能性(トレーサビリティ)が高い、整合性のあるデータ保存が可能です。

インターネットに流れる膨大なデジタルデータは簡単に複製ができるうえ、フェイクニュースや偽造されたKYC(身分確認)など情報の正確さを証明することが難しいという問題があります。しかし、ブロックチェーンはその情報に、「いつ」「誰が」「何を」したという情報も保存でき、よりデジタルデータの信頼性が高い状態で、準リアルタイムにデータ共有を実現できます。

20世紀の情報革命と呼ばれるインターネットが現代のライフスタイルに大きな影響与えているように、ブロックチェーンはその情報や記録に整合性と信頼性までも保証する『価値のインターネット』とも表現されています。

ブロックチェーンのメリットとデメリット

メリット
  • システムダウンへの耐性

データを分散管理するブロックチェーンは、デジタルデータが一つのサーバーに一極集中している従来の管理方式に比べて、中央管理者がいない状態で網の目のようなシステムを構築するため、データが1箇所に集中しません。これによりハッカーやクラッカーによるサーバーを狙ったサイバー攻撃やに晒されたとしても、システムダウンしづらいことがメリットです。

  • データ改竄防止

複数のノードで同じデータを管理するブロックチェーンの仕組みは、セキュリティが高くデータの改竄を防止できます。複数の場所で管理されるデータを一度に書き換えることは困難であり、チェーンのように連なるデータはハッシュ関数によって暗号化されているためです。仮に改竄するには、管理データの51%以上を書き換える必要があること(51%攻撃)と、その51%以上の書き換えには莫大なコストが必要になるため実質的な改竄はほぼ不可能と言えます。
さらに、悪意ある改竄をして不正取引をすること自体がブロックチェーンの信頼を下げ、不正取引の利益が得られないことに繋がるので、改竄のメリットがなく攻撃が行われないとされています。

  • スマートコントラクトによる契約の自動化

契約の自動化を意味するスマートコントラクトは、ブロックチェーンを支えるコンピュータプロトコルの一つです。自動販売機のようにお金を投入してから商品を受け取るまでの一連の流れをオンライン上で実現する仕組みで、煩わしい支払い手続きや契約を仲介者なく自動でスムーズに行えることが利点です。

デメリット
  • システム開発コストと人材不足

既存ネットワークがブロックチェーンに全て置き換わることで、より安価な決済システムが実現できるとの意見もありますが、本格的なビジネス導入にはシステム開発コストや技術者のリソース不足などの問題があります。

 

  • リアルタイム・即時決済に不向き

取引情報を一か所で管理されている決済システムでは、決済承認までのタイムラグがなく、リアルタイムで利用できます。しかし、ブロックチェーンは分散型であるがゆえに、ネットワークを介した各情報の整合性確認に一定の時間を要します。そのため、リアルタイム性が求められる即時決済などの用途には向かず、決済機能についてはクレジット払いやキャッシュレスの方が優れています。

 

  • 環境問題や社会的活用への課題

ブロックチェーンは不特定多数のノードによる計算に莫大な電力エネルギーが必要です。

ケンブリッジ大学の試算では、ビットコインだけでも発行にかかる年間総電力消費量は135.01TWhで、一つの国の消費電力量に匹敵すると言われています。現在、国連が主導するSDGs(持続可能な開発目標)やSociety5.0など環境保全や再生可能エネルギーへの志向が高まっている中で、ブロックチェーンが環境に配慮した技術として使用できるかも課題の一つです。

フィンテックからライフスタイルまで、ブロックチェーンによるDX

ブロックチェーンは前述の通り、暗号資産業界やフィンテックを中心に注目されていました。暗号資産業界でブロックチェーンの技術を応用したICOプロジェクトが数多く発生し、ブロックチェーンバブル期から黎明期と言える期間を経て、時の技術として話題になりました。そこからフィンテック以外の業種や業界がブロックチェーン技術の特徴に注目し、デジタル技術でビジネスモデルや組織改革を促すデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指す企業が中心となり、ブロックチェーンの技術を取り入れたユースケースに着手し始めています。

例えば、シェアリングエコノミーやサブスクリプションサービスにブロックチェーンの中央管理者・仲介者を必要としないP2Pの特徴を生かし、不動産など利害関係にある個人や企業が対等に契約、情報共有を行える仕組みをつくることが可能です。もちろん、すべての業務をデジタルに置き換え、仲介者ゼロを実現することは簡単ではありませんが、生産効率の向上や人的コストの削減ができると考えられます。

また、ステークホルダーが多くかかわるサプライチェーンなどの商流通・貿易業にも活用が進んでいます。従来の流通は企業や団体ごとに情報を管理する縦割り構造が主流であったため、商品に関わるすべての情報を正確にさかのぼることは困難でした。そこでブロックチェーンの特徴であるトレーサビリティ(追跡可能性)を活かせば、商品の購入者や管理者がその商品の流通経路、材料の収穫時期、製造にどんな人が関わってきたのかなどの詳細情報をQRコードやバーコードを読み取ることで確認することができるようにもなります。

さらに、ブロックチェーンの活用は行政にも広がっています。2018年、茨城県つくば市では世界初となるブロックチェーンを活用したネット投票が行われました。ブロックチェーンの技術にマイナンバーカードの署名電子証明書と暗証番号を活用することで、本人の投票であることを識別します。個人情報と投票内容を別々のサーバーで管理できるため、データの改竄や個人情報の消失などのリスクヘッジが可能です。

このようにブロックチェーンは組織横断型のビジネス様式を構築でき、フィンテックだけでなく、行政、不動産、ロジスティクス、農業など幅広い業界と現代のライフスタイルにも影響を与える技術といえます。
この技術をより効率的にビジネス活用するには、ブロックチェーンの特徴とそのユースケースを正しく理解し、業界内の知見ある企業がトータルサポートできる環境が必要です。
CTIAでは、社会インフラへのブロックチェーン導入やコンサルを手掛けてきた専任スタッフ、また協力会社とともに、弊社ならではの視点でブロックチェーンを評価し、多くの企業と共同で技術開発を進めています。

ブロックチェーン導入にご関心のある方は、ぜひお問い合わせフォームから無料相談をご利用ください。

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